平行と垂直 2026年8月28日(金) T・ジョイ梅田 他 全国ロードショー 

7月23日:スペシャルリリックビデオ追加

安田章大(SUPER EIGHT)が、山野海のオリジナル脚本を読み企画した作品。

彼が演じるのは、自閉スペクトラム症で自立して働く大貴。

彼は以下のようにコメントしている。

僕は日々生きていてこう思うことがあります。ただ、病名が付いていて診断されただけで、定型発達の方の中には変わった表現者もいて、自閉症の方の中にも何ら変わりない表現者もいる。

どんな人も伝えたいことをしっかり思考を巡らせ持っていて、何より気持ちが動いている。ただ、表現することや伝達することが不得手なだけ。少し時間がかかってしまったりするだけ。

街中では誰かがこんなことを口にします。

“普通は~…”

いった誰が定めた普通なのでしょう。

安田章大は、大病で自らの人生を考え抜いた人だ。その兄の大貴を支える妹の希を演じるのが、多方面で活躍してきた、のん。

監督は、『毎日かあさん』(11)、『マエストロ』(15)の小林聖太郎。3人ともに関西ネイティブによる関西を舞台にした映画だ。

「705」とある古いマンションの扉。中から日向大貴(安田章大)が出てくる。

コトコトとした歩き方。曲がる時には直角に曲がる。玄関前の階段を下りてゆく。

早朝、まだ暗い商店街をまっすぐコトコトと歩いてゆく。綾之町商店街内の阪堺電車の線路を渡り、「綾ノ町駅」で「浜寺駅前行」電車に乗る。関西で唯一の路面電車。大阪府堺市の駅だ。

堺市市役所近くの歩道、幾重にも重なった歩道橋を上り、公園を渡り、建物裏の鉄の扉を開ける大貴。

小机の携帯が鳴る。ベットから手が伸びる。慌てて起きる日向希(のん)。髪の毛が寝ぐせで泳いでいる。洗面所でドライヤーで髪を整える。マンションのドアを開け、家を出てから少し走る。

大貴は、モップで清掃している。トイレの便器を磨く。仕事は丁寧だ。仕事が終わり、「日向大貴でした」――とここまで音楽のみでセリフがない。映画的だ。

大貴は公園のベンチで弁当を開く。5歳の幼女が近づいてくる。

「また来たで。今日も1個ちょうだい。ちょだいよ」と大貴の弁当のおにぎりを取る。「紗奈の勝ち」と食べながら「やっぱりおいしいわ」

倉庫にトイレットペーパーを積めるのにも順番に。そのトイレットペーパー群に罫線が入り、その文字が、やがて「平行と垂直」というタイトルになる。

職場の初老の先輩須賀さん(芦川誠)は、大貴に難儀しながらも彼を見守る優しい人物。来週11月28日(金)18:00の新しい課長の歓迎会を覚えているかと念を押している。姉はカウンセラーとして働いている。毎週水曜日19:00は大貴の家で姉の希との食事会。

帰り道の商店街では、肉屋が大貴のコロッケを、八百屋は野菜を彼のために用意していて、大貴は帰りの道すがら受け取る。

希が事務所から出てくるところを待っていたのは、恋人の雅也(伊島空)、彼から「両親に希のことを話した。結婚したいと」「ちょっと待って。プロポーズしてる? 会社の近所の道端で、寝ぐせピッコーンとなってるのに? ロマンチックが一方的に足りひんやん。なんも分かってへんやん。あほちゃうか!」。

そんなこんなで希は、約束の時間に少しだけ遅れ、規則正しい生活をする大貴がパニックになる……。

須賀さんやグループホームの社長の吉川(福田天球)といった兄いもうとを見守る優しい人々だけでなく、新しく来た清掃会社の課長のような心無い人などにもふたりは囲まれている。

やがて兄いもうとの二人は、妹の婚約者の両親(菅原大吉、神野美鈴)に会いに東京へ向かう。ふたりの幼くして亡くなった母親が、関西弁ネイティブな谷村美月。

浮気者で三回目の結婚をする父親が、高山トモヒロ。希のクライアントに久保田麿希。

母が作ったという、♪ 待ってね、待ってね……から転化した兄いもうとだけの、♪ マッティーニー、マッティーニー…の歌や、大貴が相手の頬に触れる意味など、兄いもうとの互いへの心情がさりげなく描かれる。

そして、この映画に出てくる役者の芝居功者と、固めの芝居をする俳優の混合ぶりが妙なアンサンブルになっている。

毎度生真面目な演出で魅せる小林聖太郎監督のその余白部分が彼ならではの世界観が浮き出させているのかも。

戸田学

主題歌:浮 with 安田章大「話そう」 スペシャルリリックビデオ

■出演:安田章大 のん
   伊島空 高山トモヒロ 谷村美月 福田転球 芦川誠
   早織 久保田磨希 河野咲良 髙田幸季 武藤凪
   林英世/神野三鈴 菅原大吉
■監督:小林聖太郎 
■原案・脚本:山野海
■音楽:富貴晴美 
■主題歌:浮 with 安田章大「話そう」
■企画:安田章大
■企画プロデュース:佐藤現 
■プロデューサー:樫﨑秀明 竹下新悟
■撮影:大塚亮
■照明:藤井勇 

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