あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。- 8 月 7 日(金)全国公開

 汐見夏衛原作、成田洋一監督『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)は、興行収入45億円というヒット作になった。

 高校三年生の加納百合(福原遥)は、1945年の太平洋戦争中の日本にタイムスリップして、佐久間彰(水上恒司)という青年に出会い、特攻の母と言われていたツル(松坂慶子)が経営する鶴屋食堂で、住み込みで働くことになる。そこで友人となる千代(出口夏希)とも出会う。彰と恋仲になるも特攻隊員の彰は百合の花を胸にさし、出撃する。現代へ戻った百合は、彰の夢であった教師を目指す。

 本作『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい』は、汐見夏衛による続編で完結編の映画化。監督は、『366日』(25)の新城毅彦。

 原作の汐見夏衛は、百合と彰に今度こそ曇りのない幸せを感じて欲しくて、前作執筆中から考えていた後日談だという。

 エンジン音が響きキャメラは雲間をゆく。やがて降下してゆくと、陸と海辺。木々が鬱蒼とした中に百合が咲き乱れている丘がある。高校生の加納百合(福原遥)が立っている。「綺麗」。兵隊姿の佐久間彰(水上恒司)がほほ笑む。「ねえ、彰……彰……」。心配そうな表情。サイレンがなり響き。天候が曇って来て、エンジン音が響く。

 暗い団地のベッドで寝ている百合。「何度目の夢だろう」。ベランダに出て薄暗い外を眺める。

 母親の幸恵(中島朋子)が朝食の準備をしている。「おはよう」「遅いよ。ご飯出来たから」。食事を終え、父親の遺影に「行ってきます、お父さん……おかあさんも……」「いってらっしゃい」

「彰、あなたとお別れして随分時間が経ったよ。私はあなたの年を越えたけど、あなたの旅立った空を見上げてしまうよ」

 百合は進学高校の教師である。授業で兵士の残した詩を取り上げている。授業中、ひたすらノートに何かを記している生徒がいる。鮎川紗良(豊嶋花)だ。先輩男性教師にも彼女のことを話題にされる。彼女はひとり図書館でノートに何かを記している。

 かつての百合が咲く丘は、今では百合ヶ丘公園になっていた。百合がふらりと公園へ行くと男が背を向けている。百合はぼんやりとその背を眺めている。彼は振り向く。不思議な顔をしている。百合はその姿を悲しそうな表情で見つめる。何かを無意識に感じているのだ。

 百合が咲いている。かつてのこの辺りの俯瞰で映し、右にタイトルが出る――。

 百合の学校に臨時任用教員として公園で出会った青年が来る。宮原涼(芝居功者の細田佳央太)。百合が担当する2年A組の副担任に任命される。大学院生で専攻は近代文学。昨日は学校の下見へ来て、帰りに周辺を巡って公園へ来たという。

 教室での自己紹介で涼は上がってしまう。「あ、こういう時は深呼吸。みんなも、はい吸って、吐いて~」

 百合には不思議とその姿が彰とダブった。生徒に「なんで俺たちもやるんですか」と言われ、「あ、そうか。みんなは関係ないな」。いっぺんに生徒たちの人気を獲得する。そんな時も鮎川紗良は頬杖をついてぼんやりしていた。

 授業後、涼が「今朝、ものすごく笑ってましたね。ぼくが深呼吸って言ったので」「昔、同じことを言った人がいたので」「その人って先輩の恋人ですか」「そんなことを普通聞きますか」。チャイムが鳴る。「じゃあ、今日はこの辺で―」「加納先輩の説明分かりやすかったです」「先輩って同い年ですよ」「先輩は先輩なんで」。

 自宅で夕食。母の幸恵が「もしかしたら百合って決まった人がいてるのかなと思った」「いるよ。もう絶対に会えない人だけど―」「いいの?」「いいの、このままでズウゥーッと」

 昔の丘の俯瞰。百合が咲き乱れた中に高校生の百合がいる。

 その夢は、涼が見たものだった。

 学校では伊勢志摩扮する先生が「慰霊納涼祭」のポスターを貼っている。「もともとは慰霊でやっていたけどね」。今では花火大会で知られている。

 百合は、鮎川紗良の小説家志願を応援したいと思っている。

彰が言っていた。「百合、俺はね、教師になって、子どもたちの未来を豊かにしたかったんだ」。

 海岸で百合が座っていると、杖をついた老婆がジッと見ている。そして近づいてきた。「あなたが知り合いの女の子に似てるから。ほんと似てる……ゆりちゃんも生きていれば私と同じぐらいだから…」「ゆり?」「その子の名前」

 老婆は、高級なホスピスに住んでいた。名前を藤谷千代(倍賞千恵子)といった。彰から預かったという一冊の本が百合に手渡される……。

 映画は、前作を見ずともきちんと成り立つ構成になっている。

 今また戦争の足音が忍び寄る不穏な世の中。劇中で百合が涼を助手に開催する特別授業での生徒たちが読む特攻隊員の手紙に、観客は感情を突き動かされるだろう。

 平和の尊さ。この夏是非見て欲しい。

 主題歌は前作に引き続き福山雅治の書下ろしである『邂逅』。

2026年8月7日(金)全国公開。

戸田学


©2026「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会

  • タイトル : 『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』
  • 出演 : 福原遥 / 細田佳央太 出口夏希 豊嶋花 / 井之脇海 伊藤健太郎 中嶋朋子 /水上恒司 上川周作 小野塚勇人 松坂慶子 / 倍賞千恵子
  • 主題歌 : 「邂逅」 福山雅治(アミューズ/Polydor Records)
  • 原作 : 汐見夏衛『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』(スターツ出版文庫)
  • 監督 : 新城毅彦
  • 脚本 : 山浦雅大
  • 音楽 : 日向萌
  • 制作プロダクション : ダーウィン
  • 企画・制作幹事・配給 : 松竹
  • 製作 : 「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会
  • 公式サイト : https://movies.shochiku.co.jp/anohoshi-movie
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配給: 松竹