現在、ハリウッドで最も旬なゼンデイヤとロバート・パティンソンの組み合わせによる異色な恋愛映画というところであろうか。

ゼンデイヤは『DUNE デューン 砂の惑星』(21~26)、『スパイダーマン』(17~26)シリーズ、ロバート・パティンソンは、『トワイライト』シリーズ(08~12)、『THE BATMAN ─ザ・バットマン─』(22)、『ミッキー17』(25)、さらにふたりは、『オデュッセイア』(26)、『デューン 砂の惑星PART3』(26)でも共演している。これらの映画は、非日常的な映画である。
そして今回ふたりが共演する『ドラマなふたり』は、初めて等身大のロマンス映画かと思いきや、さすがにA24作品で物語は、意外な方向へと突き進む。
さらにはA24史上最速で、全世界興収1億ドル突破の大ヒットを記録した作品でもある。
監督・脚本・編集は、北欧の才人であるクリストファー・ボルグリ。
プロデューサーは『ミッドサマー』(19)の監督でもあるアリ・アスターである。

文芸編集者であるエマ(ゼンデイヤ)のイヤリングのある右耳のアップ。ボストンのカフェ。
カフェのウィンドウ越しに、ゲンブリッジ美術館の主任学芸員のチャーリー(ロバート・パティンソン)が歩いてゆく。店へ入って来て、ブラックコーヒーを注文する。ふと窓向きの席で左耳にだけイヤホンをつけて本を読みながらコーヒーを飲んでるエマの姿に釘づけになる。
中ほどの席に座ったチャーリーは、彼女を眺めている。
エマがコーヒーのお代わりに席を立った合間に、テーブルに伏せてある彼女が読んでいた本を写メで撮影する。席へ戻ってスマホで検索するとハーパー・エリソン著『ダメージ』。
席へ戻って来たエマにチャーリーは近づき、「その本、面白いよね。先週読み終わったんだ」と声をかける。
エマは知らん顔をしている。気のせいか、客や店員がこちらを見ている気がする。
「誤解しないでくれ」というと、エマが振り返る。「その本が…」というと、エマは左耳のイヤホンを取って、「何て?」と話す。慌てたチャーリーは、「ナンパじゃないんだ」。
「何の話?」と笑う。「本が良かったと」「耳が聞こえないの」「聞こえない?」「そう」、左耳を指して「こっちだけ」と笑う。「最初からやる?」「やり直す?」「もう一度初めから?」「いいよ」とチャーリーは席へ戻り、エマはイヤホンをつけ直す。
「絶対に罠だと思った。会話を録音されてネットで拡散されると」。
チャーリーとエマのツーショット写真が数枚インサートされ、「でも僕は“二度目の出会い”に賭けるしかなかった」。
チャーリーは自宅で“結婚式のスピーチ”と書かれたパソコン画面を前にしている。話を聞いているのは、彼の親友のマイク(ママドゥ・アティエ)。
「面白い。ここから初デートの話へ」。
広いレストランでエマとチャーリーが向き合い、エマが小説の話を振るがチャーリーは「実は読んでない」という。「何て?」「君を見た瞬間にドキッとして」。エマの表情が消えてゆく。「話しかけたくなった。でも、きっかけがなくて」「それヤバい」。困ったチャーリーは「すまなかった」「ちょっと変態ぽい」、そしてからかうように「ヤバいイギリス人」。
エマとチャーリーは一緒に暮らし始め、出会いから2年で次のステップの結婚の流れになっている。マイクとその妻レイチェル(アラナ・ハイム)が付添人を務めてくれることになり、結婚式の準備を進めている。
エマはカフェで泣き出し、レイチェルと、二人の上司であるアリス(ハンナ・グロス)がそれに付き合っている。
「人に話をするのは初めてなの。泣かないと思ったのに」。
レイチェルは「まずは笑い話から始めたら?」という。
エマとチャーリーはそれぞれに結婚式のスピーチを考えているのだ。
ふたりはスピーチについて話し合う。
「初キッス」のエピソード。夜、美術館が閉まってから、学芸員のチャーリーは、鍵があるので、美術館へエマを連れ出す。
エマは「子どもの頃に見た夢よ。夜のモールや図書館に忍び込むの」といい、チャーリーは「夢が叶うよ」というが、奥のドアが開かず、無理に開けようとしたら警報装置が鳴り響き、聞こえる左耳を押さえるエマにチャーリーは思わすキスをする。
エマにとって28歳で出逢ったチャーリーは初恋の相手でもある。
チャーリーは、聞こえないエマの右耳に向かって「死ぬほど好きだ。君が必要なんだ。結婚したい。でも怖くて聞けない」とささやく。マイクはそのエピソードを聞き、涙ぐむ。
チャーリーとエマは、結婚式で披露するダンスのレッスンへ行き、タイトルが出る。
結婚式まであと一週間、ふたりはマイクとレイチェルと共に、披露宴のメニューを決める試食へ出かけ、酔っ払った 4 人は、これまでにやらかした最悪の行いを告白することになる。一番最後に話をしたエマの告白で物語は、違う展開を迎える――。
ここからエマの告白に対して、それぞれがそれぞれに対して疑心暗鬼になる。日常が非日常になってゆき、主人公たちが追い詰められてゆく。
人気スターの取り合わせによるロマンス映画かと思っていた矢先に、心理サスペンス映画へと展開してゆく。
さすがA24作品だけのことはある。
戸田学
8月21日(金)公開。
監督・脚本:クリストファー・ボルグリ
製作:ラース・クヌードセン、アリ・アスター
出演:ゼンデイヤ、ロバート・パティンソン 、アラナ・ハイム、ママドゥ・アティエ、ヘイリー・ゲイツほか
2026|アメリカ|105分|英語|5.1ch|英題:The Drama|字幕翻訳:牧野琴子 | G
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/drama
公式X:@A24HPS/公式Instagram:@thedrama_movie
8月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか、全国公開
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